LINE BLOGからの転載
宮沢賢治の作品で一番好きなのは、やはり銀河鉄道の夜。お話を読み銀河鉄道のイメージから絵を書いたり、アニメをみてまたお話を読んでみたりと一番お話を読んだ回数から言えば銀河鉄道の夜なのです。たた、同じくらい記憶のなかで強い印象として残っているのは小学校の教科書に載っていたやまなしです。名前をとったクラムボンが出て来るお話。
水のなかに光が指し生き物達がふわふわと息づく文章の不思議な透明感にも惹かれましたが蟹の兄弟が話すクラムボンが一番気になりました。クラムボンってなんだろうと。
泡や魚、蟹、やまなし、人に妖怪、妖精(コロボックル)とかいろいろ考えてみたし、聞いてもみたけど、どれもあたりのようでどれも違う気がします。何者でもあり何者でもない。正解は宮沢賢治にしかわからない。不思議な生き物。
そんなクラムボンの話もクラムボンは笑えるこれだけが記憶に残りました。なので、私の中ではずっとクラムボンは、何者であれ幸せな生き物と思っていました。
大人になってふと懐かしくやまなしを読んで見ると、クラムボンは殺されてるし、その先も案外長かったのです。記憶とはいい加減なものですね。
殺されてしまうクラムボンは、悪いもの?自然界の中だから弱いもの?でも何者でもあり何者でもない生き物をなにが殺せようか?いろんな人のいろんな意見や、答えはたぶんどれも正解でなにを答えとするかは、その人の考え、環境で変わるだけな気がするのです。
だから、クラムボンは何者かはわからないけど、何者でもこの犯人だけにはかなわないものを見つければいいのかなと思い、犯人として思いついたのは、時間。
時です。
どんな生き物にも平等に命を削っていく殺人犯人ですね。良いも悪いも強いも弱いも関係なし。緩やかにときに突然奪って止めてしまう。たた、いつも通りに流れているだけなのに。
悲しことも、むかつくことも、理不尽なことも、楽しいことも、嬉しいことも、わからないことも、ずるいことも、くやしいことも、歌い出したいことも、叫びたいことも、泣きたいことも、恥ずかしいことも、笑いたいことも、教えたいことも、書きたいことも、描きたいことも、いろいろ毎日たくさんのことがあります。どうしようもないことも多いけど、悪い方に考え暗い顔しているより、どうせなら、クラムボンのように、跳ねながらでも、かぷかぷしながらでも笑っていたほうがいい。きっとその方が幸せなのです。やっぱりクラムボンは幸せな生き物。
難しいときもあるけど、沢山笑っていけるくらむぼんでありたいですね。
いきなり悪者にした時間とも仲良くしていかなければ。でも時々搾取されてるような気もするし、一日48時間にしてというのはまた別の話。
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